(1)

★子豚を連想させる若い女性が、鉄板焼のハンバーグを仲よく食べながら、幸せそうにコロコロ笑い合っていた。

 ①美味しく食べられる。

 ②よく眠れる。

 ③人と心が通じ合う。

 虐待で傷ついた人達にとっては、これが幸福の定義だという。

 3つとも備えていながら「不満足性」という名のドゥッカに苦しむ普通の人達……。

 失ってみて、初めて掛けがえのなさに気づくものばかりだ。

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(2)

★自分の存在を否定され、誰からも認めてもらえなかったら、生きていけるだろうか。

 人は、仕事をして褒められ、人の役に立ち、人に必要とされるから幸せを感じることができる。

 ……との理念から、知的障害者を全従業員の7割も雇用している会社がある。

 幸福の原点は、基本的自尊感情と自己有用感……。

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(3)

★町のパン屋のおじさんは「ご飯を食べて、働いて、安心して眠れ、普通に暮らしていける。それが幸せじゃないの」

「自由に物が言え、健康で、笑顔で、皆が仲が良いこと」を付け加える人。

 何も求めなければ、ガツガツしないし、失望しないし、人と比べなくなるし、心が静かになるよ、と言う人……。

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(4)

★人が求めてやまないものには、段階がある。

①水が飲め、物が食べられ、息が吸え、眠れる。

②安心安全が持続する。

③帰属する祖国、仲間、家族、居場所がある。

④承認される。重んじられる。敬われる。

⑤夢を叶え、理想を実現し、才能と可能性を最大に花開かせる。

⑥因果に縛られて変滅する繰り返しから解脱する……。

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(5)

★快を貪り求め、多く所有するほど幸福度が上がると考える足し算の幸福原理は、何がなんでも生存し増殖しようとする生命の本質かもしれない。

 だが、地球の資源にも人類の異常増殖にも上限がある。

 仏教が提示してきた、欲望とエゴの引き算がもたらす静けさと優しさの価値を学ぶ時が来ている……。