●二十四縁起の教えが説かれた場所


 お釈迦様は7回目の安居の際に、過去生でお釈迦様の母親になったことが有る神への感謝の印とし、その神が率いる神々梵天たちに三十三天で説かれたのが二十四縁起です。安居の三カ月まるまる使って説法されました。安居明けが近づき二十四縁起の説法が終わると、一万宇宙から説法を聞きにやって来た千八万の神々梵天たちが比丘になりました。そして数えきれないほどの神々梵天たちが預流、一来、不還の覚りを得ました。


●現代に伝わっている二十四縁起の由来


 お釈迦様は三十三天で説かれた二十四縁起の教えを、お釈迦様の右腕と称されたサーリプッタ尊者に改めて説かれました。改めてと言っても仔細に説かれたわけではなく、「私はヘートゥパッチャヤ―(因縁)のここからここまで説きました」と概要を示す形で説かれたのです。サーリプッタ尊者は智慧第一でお釈迦様の右腕と称された方であり、概要を聞いただけでもご自身の智慧で考察し、全てを知り、理解されました。サーリプッタ尊者は二十四縁起の教えを傍に居た500人の弟子に説かれました。現存する二十四縁起の法はこのようにサーリプッタ尊者が傍にいた500人の比丘弟子たちに説かれたものです。


●三つの説法のスタイル


 お釈迦様が三十三天で説かれた二十四縁起の教えは「極めて広大なスタイルの二十四縁起の教え(アティウェィッターラナ)」と呼ばれています。サーリプッタ尊者にお釈迦様が改めて説かれた二十四縁起の教えは「大変狭小なスタイルの教え(アティティンキータパナヤ)」と呼ばれています。サーリプッタ尊者が近くにいた500人の弟子比丘に説かれた二十四縁起の教えは広大でも狭小でもなく、中ぐらいなので「広大でも狭小でも無いスタイルの教え(ナーティウェィッターラナーティティンキータパナヤ)」、と呼ばれています。現代人にとっては、サーリプッタ尊者が説かれたスタイル(ナーティウェィッターラナーティティンキータパナヤ)でさえも内容がとても多く、印刷出版する際に内容を収取選択する必用があります。

二十四縁起の教えは、 

  1.  (1)繊細・崇高で深くて広大な教えとなっていること、
  2.  (2)威力が強力かつ広大で、神々梵天たちからの尊敬を受ける教えとなっていること、
  3.  (3)お釈迦様の教えが永く続くようにするための最前線となっていること、

 このようにレベルが高い三つの側面を持っています。 

 繊細で崇高であることについて、「初学者でも分かる二十四縁起」を読み進める中で、どの程度繊細で崇高なのか、なぜ繊細で崇高なのかを知り、理解していただけるだろうと思います。天界では神々に向けて特別に説かれた教えとなっています。知識、智慧が広い神々梵天たちに特別に説かれた教えでもあり、神々梵天たちもこの教えを尊敬し、敬いました。


●お釈迦様の教えがこの世から消えてなくなる時の様子


 お釈迦様の教えはいずれ消えて無くなってしまうと言われています。パリヤッティ(学習)の教え、パティパッティ(実践)の教え、パティヴェーダ(体験)の教えという三つのお釈迦様の教義の中でパリヤッティ(学習)の教えがまず先に消えてなくなります。パリヤッティ(学習)の教えの中にはスッタピタカ(経蔵)、ヴィナヤピタカ(律蔵)、アビダンマピタカ(論蔵)という三つのピタカ(三蔵)がありますが、アビダンマピタカ(論蔵)が最初に消えて無くなります。パリヤッティの教えの中にはトゥッタンピタカ(経蔵)、ウィナヤピタカ(律蔵)、アビダンマピタカ(論蔵)という三つのピタカ(三蔵)がありますが、アビダンマピタカ(論蔵)が最初に消えてなくなります。アビダンマピタカ(論蔵)にはダンマサンガニィ(法集論)、ヴィバンガ(分別論)、ダートゥカター(界説論)、プッガラパンニャッティ(人施設論)、カターワットゥ(論事)、ヤマカ(双論)、パッターナ(発趣論)という七つの部分がありますが、パッターナ(発趣論:二十四縁起)が最初に消えてなくなります。

 法を伝えることで二十四縁起が消えてなくならないように守ることができるのでしょうか

 なぜ二十四縁起の法が最初に消えて無くなるのかと言うと、他の教えに比べて極めて深淵で、理解するのが難しいからです。そのため二十四縁起の教えが消えて無くなるのを恐れ、その説法が行われています。けれども二十四縁起の説法を行ってもそれだけでは二十四縁起の法が消えてなくならないように守ることはできません。心ある人達が二十四縁起の法の深い意味を知り理解するように学習することでのみ二十四縁起の法が消えてなくならないように守ることができます。


●二十四縁起を唱えると願いが叶いますか


 二十四縁起を唱えると願いが叶い、災厄から逃れることができると考えて、二十四縁起のパーリ偈文を唱える人たちがいます。こうした見解はお釈迦様の説法を記録した文献にはありませんが、正しいと言うことができます。何故かと言うと、二十四縁起を唱えると、力が強い神々梵天たちがそばにやって来てそれを聞くため、妖怪、魔物、力が弱い下々の神々が、力が強い神々梵天たちの威力により遠くに押しやられてしまいます。聞きたい言葉を好ましい調子で語ると聞き手は親しみを感じ、その話し手を褒め称えて守ります。

 同様に、二十四縁起を唱える人に対しても、力が強い神々、梵天たちがその人を褒め称えて守ります。


●二十四縁起の意味


 二十四縁起(パッターナ)とは多種多様な原因と結果の法という意味です。色(物質)、名(心)がどのように生じ、存在しているのか、色(物質)、名(心)のそれぞれが

如何にして相互に関連し、機能し、存在するのか、どのようにして一つ一つの法がお互いに作用しあうのか、どのような形で原因となるのかを広範かつ詳細に説き示したのが二十四縁起、パッターナです。

 二十四縁起というのは色法(物質)、名法(心)が生じては滅する様子、それぞれが関連して機能する様子を広範囲かつ詳細に説明した教えです。二十四縁起は生命を構成する色法(物質)と名法(心)を詳細に説いた教えです。

 また二十四縁起は十二縁起(パティッチャサムッパーダ)の教えをより広範かつ仔細に説いた教えです。